子供の高校入試を考えるとき、大人は、大学入試の3年早いバージョンのように高校入試を考えがちですが、大学入試と高校入試では大きな違いがあります。

 

第1に、受験者の成熟度です。たった3年の年齢差ですが、まだ小学生のような一面の残る中学3年生と、時に大人以上の良識を見せる高校3年生では、精神的な成長には大きな差があります。

 

次に選択肢の数です。大学入試では1度失敗しても、まだ無数に学校がありますが、高校入試では1度失敗すると次に選べる学校は、1、2校しかなく、そこを失敗するわけにいかない状態に追い詰められます。

 

上記2つの理由から、前期、中期の2回の受験機会を、大学を2回受験するように気軽に考えるわけにはいきません。

 

 ひかり塾の2人の生徒さんの例をご紹介します。参考になれば幸いです。

 

 

「Aさんのケース」

   中3、1学期入塾のAさんは、入塾時から「峰山高校の普通科に行きたい」と言っていました。

  1学期の成績は4が2つ、他すべて3 で「なんとか峰高合格範囲内」という状態でしたが、2学期には4が4つに増え

  努力をしているようすが伺えました。

 

  部活で府大会出場の経験が何度かあり、その結果を生かしたい、との考えがあったため、彼女は前期B日程に挑戦しました。

  B日程は、報告書(9教科)=135  面接=30  作文=60  活動実績報告書=60 の評価で、筆記試験

  がありません。

 

  「前期は例年厳しい受験になるため受かればラッキー、本番は中期で…」と、頭では理解しているようでしたが、前期入試を決めた頃から勉強に身がはいらないようすがみえるようになりました。 その年の峰高前期の倍率は1,75倍で、ほぼ予想通りの数字でした。

「面接も作文も練習どおりにできた。」と言っていましたが、Aさんは合格しませんでした。

 

彼女の成績なら中期での合格は難しくなく、当然中期で峰高を第一順位に、久美高を第2順位にすると思いましたが

入試勉強の手を抜いてしまったこと、1度の不合格で試験に臆病になってしまったこと、久美高の受験者が例年になく多かった 

ことなどの理由で、確実に合格する久美高を第1順位にしました。 

 

   現在久美高のcクラスで頑張っています。

 

  前期の結果発表が2月22日、中期願書締め切りが3月2日、中期試験が3月7日 と中期入試まで2週間しかないため、前期入試の結果発表後の勉強では間に合わないのですが、受験をするということは、当然合格を期待して受験をするのですから、前期の結果がわかるまでは、前期試験が心を占めるのは当然で、使わないかもしれない中期の勉強に実が入らないのもしかたがないことかもしれません。

Aさんのようにしっかりした15歳でも気持ちのコントロールが難しい、とつくづく思いました。

 

Aさんは、普通に受験勉強をして、普通に中期で受ければ、恐らく希望の高校に合格したであろう成績だけにたいへん残念でした。

 

 

「Bさんのケース」

   「網高の企画経営に行きたいが、現在の成績では難しい」、と2年の3学期に入塾してくれた生徒さんです。

  2と3が半々の成績でした。3年の1学期で2だった数学が4になり、2学期に英語も2から3になりました。

  実力試験もあがってきて、ちゃんと勉強をしているようすが伺えました。 

   

  専門学科は前期試験での定員が多いのですが、特に網高は前期21人、中期9人と前期に偏っているため、

  Bさんも前期で受験をしました。倍率は1,71で、合格には至りませんでした。

  不合格の原因は、低い1,2年の内申を、よくなってきた実力試験で埋めるつもりだったのですが、試験の結果が日ごろの

  実力試験よりずっと低かったことが大きな原因でした。

  お母さんは、「今更どうにもできない」と、内申の重さを嘆いておられました。

 

  網高は例年、普通科の方が倍率が低く入りやすいため、中期では普通科にするか、企画経営科にするかずいぶん悩んだよう

  ですが、「企画経営に行きたい」がBさんの希望だったため、企画経営を第1順位に受験をしました。

  倍率は定員9名に希望者8名の0.86の倍率でした。第2順位の受験者を考えると、定員ぎりぎりか、ややオーバーになった

  かもしれません。 苦しんで選択をしましたが、なんとか合格することができました。

 

  AさんとBさんについて、Aさんのほうが中期で志望校に合格する確率は高かったのに、Aさんは志望校を変え、

  Bさんは志望校を通す決断をしたのはなぜでしょうか。

 

  1つには、なんといってもAさんは成績のやや良い子で、部活でも良い結果をだしている生徒です。「不合格」に

   対するショックは大きかったかもしれません。 Bさんはあまり良くない成績の生徒だったため「不合格」に

   対するショックはAさんほどには大きくなかったかもしれません。

 

   それにしても15歳で世間から「NO」を突き付けられたショックと、「行くことができる公立高校がなくなるかも

   しれない」という恐怖は大きいはずです。 これを乗り越えるためには、1、「前期試験は落ちる確率が高い」と

   肝に銘じ合格の期待をしない 2、中期試験で合格するつもりで試験勉強を続ける ことです。

   そうすれば、2回の機会が1度の機会をも奪うものではなく、2回とも活かす機会になることができると思います。

   

  

   

  

 

 

 

 

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